中東法務の森|5カ国比較
GCC5カ国の競争法・企業結合規制 比較
※ 本ページは2026年6月11日現在の法令・公表情報に基づく。法令・施行日・閾値は改正が速いため、最新は一次出典・専門家にてご確認ください。
GCCの競争法はここ数年で整備・厳格化が進み、企業結合(M&A)の事前届出が実務上の論点になっています。届出閾値・届出時期・最新動向は国差が大きく、クロージング前の確認が欠かせません。
5カ国比較表
| 項目 | UAE | サウジ | カタール | クウェート | バーレーン |
|---|---|---|---|---|---|
| 根拠法 | FDL 36/2023(2023/12) | M/75(2019) | Law 19/2006+規則61/2008 | Law 72/2020 | Law 31/2018(2019/1) |
| 執行当局 | 経済省・競争規制委員会 | GAC(競争総局) | MOCI競争保護委員会 | CPA(競争保護庁) | MOIC消費者保護局(独立当局未設置) |
| 届出閾値 | UAE売上3億AED または シェア40% | 全世界2億SAR+対象4,000万+国内4,000万 | 定量閾値なし(質的判断) | 売上150万KWD等(2026改定) | 定量閾値は未制定 |
| 届出時期 | 完了90日前(停止義務) | クロージング前(停止義務) | クロージング前(停止義務) | 合意から60日以内・事前承認 | (整備途上) |
| 直近動向 | 施行規則(閣決59/2026)2026/7/30施行へ | 25年GLv5・審査MENA最多 | 執行は限定的(Uber/Careem阻止例) | 25年憲法裁が一律罰則を無効化 | 閾値・細則の整備が途上 |
出典:各国競争当局/Covington 等。 / 2026年7月1日時点。横スクロールで全項目を表示できます。
各国の差分・解説
近年の最大の動きはUAEです。FDL 36/2023に続き、施行規則(閣議決定59/2026)が2026年7月30日に施行予定で、義務的届出・停止効(完了前の実行禁止)・沈黙のみなし却下・各種免除の撤廃など、届出実務が大きく変わります。
サウジのGACはMENAで最も審査件数が多く、実務上の影響が大きい当局です。カタールは定量閾値がなく質的判断(UberとCareemの統合阻止例)、クウェートは2025年に憲法裁が一律罰則を無効化し制度が流動的です。バーレーンは閾値が未制定で整備途上です。M&Aは、各国の届出要否をクロージング前に必ず確認する必要があります。
関連ページ
出典・参考
- 各国競争法(FDL36/2023・M/75・Law19/2006・Law72/2020・Law31/2018)
- 各国競争当局公表・Covington/各法律事務所のGCC競争法アップデート
※ 原資(森作成・公開許諾済デッキ)をWeb用に書き起こし、一次出典を併記しています。逐語転載はしていません。
よくあるご質問
M&Aで事前届出が必要な国はどこですか?
UAE・サウジ・カタール・クウェートは、一定の要件を満たす企業結合にクロージング前の届出・承認が必要です(停止義務あり)。バーレーンは閾値が未制定で整備途上です。閾値や判断基準が国ごとに異なるため、対象国すべてで個別確認が必要です。
届出閾値がない国ではどう判断しますか?
カタールは定量的な届出閾値を持たず、市場支配への影響という『質的判断』で審査します。売上やシェアの数値基準がないため予見可能性が低く、過去にはUberとCareemの統合が阻止されました。実務上は事前に当局の見解を確認することが安全です。
監修・免責本ページは、当社代表で One Asia Lawyers パートナー弁護士(中東リージョン代表)の 森 和孝 の監修による、Eminence Luxe Real Estate Brokerage L.L.C. による一般的な情報提供であり、個別の法律助言ではありません。
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